相続登記において登記上の住所とつながらない場合の対処法
相続登記においては、不動産の所有者と被相続人とが同じ人物であることを証明する必要があります。
そして、登記手続きにおいては、登記簿上の住所と住民票の住所が異なる場合、別人であるとみなされてしまうため、被相続人が生前最後に住んでいた住所と登記簿上の住所が一致しなければなりませんが、これが一致しないことを「住所がつながらない」といいます。
本稿では、登記簿上の住所とつながらない場合の対処法について詳しく見ていきましょう。
登記簿上の住所とつながらない場合には必要書類が増える
住所がつながらない場合、相続登記手続きにおいて次の書類を添付する必要があります。
①住民票の除票
住民票の除票とは、他の市区町村への転出や死亡などにより住民登録が削除された住民票のことをいいます。
住民票の除票に前住所の記載があり、その前住所が登記簿の住所と一致している場合には、住民票の除票を添付することで足ります。
もっとも、住民票の除票には保存期間がある点に注意が必要です。
令和元年6月20日の改正により保存期間が150年に延長されましたが、それ以前には保存期間が5年間とされていたため、平成21年以前に亡くなった方の住民票の除票は、既にデータが消去されている可能性が高いです。
②戸籍の附票
戸籍の附票とは、本籍地の市区町村において戸籍とあわせて編成されるもので、その戸籍が編製されてから(又はその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(又はその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されています。
複数回転居をした人であっても、出生から死亡までの本籍地に変動がなければ、その本籍地において戸籍の附票を取得することで一生分の住所の変遷を知ることができます。
しかし、これも住民票の除票と同様に、改正前は保存期間が5年とされていたため、平成21年以前に戸籍の全員が除籍になっていたなどの場合には、取得できない可能性があります。
③登記済証(登記識別情報通知)
登記済証は、不動産について所有権移転登記をしたときに法務局から発行される書類です。
当該不動産の所有者本人のみに対して交付され、いかなる理由があっても再発行されません。
すなわち、登記済証は当該不動産の所有者の本人確認の役割を果たし、それを相続人が提出することで、登記簿上の所有者の相続人であることの証明に役立ちます。
したがって、住民票の除票などの公的書類で住所がつながらないときの代替書類として、登記済証の添付が実務上認められています。
④相続人全員の上申書
住民票の除票や戸籍の附票などの公的書類で住所がつながらず、登記済証も紛失してしまっている場合には、最終手段として、相続人全員からの上申書を添付することが考えられます。
上申書には、「登記簿上の所有者が間違いなく自分たちの被相続人であること」を内容として記載し、相続人全員が法務局に対して申告を行います。
この上申書には、相続人全員が実印で押印のうえ印鑑証明書を添付します。
これは、相続人の1人が不動産を相続することになっていたとしても変わりません。
また、法務局によっては、戸籍の附票等の廃棄証明書や不在籍証明書、不在住証明書、固定資産税の納税通知書の添付が求められるケースもあります。
相続登記に関する問題は、司法書士あかせ事務所にご相談ください
相続登記は令和6年4月から義務化され、相続の開始及び所有権の取得を知った日から3年以内に行わないと、10万円以下の過料の対象になるおそれがあるため、お早目の手続をおすすめします。
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